過ぎたるは及ばざるが如し

 えー、年末。四年ぶりの再開となる旧友と会って参りました。
 付き合いはもう中学時代から続いておりまして、最近では珍しい律儀で真面目で頭に『バカ』が付くほどの正直男です。
 仕事に就いてから一緒に飲んだことがなかったので、今何をしているのかを色々と話しました。
 最初は、『結構やりがいあるよ』とか『人付き合いって難しいけど楽しいよ』など、なるほどソイツらしいことを喋っておりました。

 で、飲み始めて一時間ほどが経過した頃。
 あまり酒に強くないそいつの本音がポロポロと出始めたのです。

 『宴会で裸踊りをさせられそうになった』

 『月に七十時間以上サービス残業している』

 『週に最低二回は会社で寝泊まりしている』

 もう私は、不憫な彼の身の上話をただ聞くだけです。

 で、さらに一時間が経過した頃。彼の目を見て思いました。















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 す、据わってる
 ただ、物書き見習いとしてのクセなのでしょうか。彼の表情をジッと観察しながら、どう描写すれば読者によりリアルに伝えられるのかなどということを考えてしまいました。




 そうです。まだ私にも余裕があったのです。




 しかし更に三十分時間が経った頃。



「最近なー、体もしんどいし、精神的にも参ってるのに、上司には作り笑い向けられるようになってきたんや……」









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そ、そうか……(重ぃ……)。





 目をまともに合わせられなくなってきました。



「やっぱ人間、最後は自分のためにしか生きられへんて」












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そ、そうですか……(お、重いぃぃ)。






 もう彼を観察する余裕などありません。





「問題は……俺の理性がドコまでもつか、やな……」















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さ、左様で御座いますか……(重すぎるぅぅぅぅぅ!)。






 薄ら笑いを浮かべながら言った彼の言葉が私の胸を抉ります。




「なー飛乃ー……お前の方はどうなんや……」





 い、言えない。

 たまに上司にタメ口で喋っているなんて。

 客との約束ドタキャンしてるなんて。

 先月の残業時間たった三時間だなんて。













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 人の不幸は面白いと思っていましたが、どうやら認識が甘かったようです。
 世の中、なんでも度が過ぎると笑えなくなりますよね。逆に言えば笑っていられる私の不幸など、不幸の内には入らないのかも知れません。
 私は幸せ者なんだろーか……それとも天然……? うーん。
 ま、いーや。ゲームしよ。
 
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 『貴方に捧げる死神の謳声 第一部』読んで下さった方! どうも有り難うございました! よろしければサブストーリーなどもチラチラと流し読んでいただけると嬉しいです!

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