誤った語源

 今日、試作品の製造立ち会いに行って参りました。
 一緒に行ったのは、かなり年上の先輩。私のオヤジと同じくらいの年齢でしょうか。
 そしたらその人、立ち会い場所にあった物がよほど珍しかったんでしょうか、もう色んな機械見てまわってずーっとウロウロウロウロウロウロウロウロウロウロウロしておりました。
 そんな彼の後ろ姿を見ながら、私はふと自分のオヤジのことを思いだしたのです。

 あれは私が大学生の頃、初めて一人暮らしをする当日のことでした。
 もうお金や書類なんかはすべて渡し終え、後はカギを貰うだけという日。
 オヤジの車を借りて不動産屋に行こうとした時、オヤジが「剣弥だけやったら心配やから俺も付いていく」と言い出したのです。
 心配も何も、後は簡単な説明を受けてカギを貰うだけなのですから別にコレと言って口出しする部分はありません。
 とはいえオヤジの車を借りるのですから断るわけにも行かず、しぶしぶ同行させました。
 
 で、不動産屋に到着し、部屋についての説明が始まった時です。

「えー、それではですね……」

 ガタン、といきなりオヤジが立ち上がりました。
 何事かと思いオヤジを見ましたが、別に何を言うでもなく、オヤジは黙って不動産屋に置いてあったパソコンに向かいました。
 不動産屋は気を取り直して説明再開。

「まずゴミの出し方なんですけど……」

「へえー、ここのOS。windowsやなくてDOSなんか」


 オヤジの独り言乱入。
 
 取りあえず無視して説明を続けて貰います。

「燃えるゴミはですね……」

「おおー、懐かしいスクリーンセイバーやなー」

 最初より大きな声で独り言再乱入。

「げ、月水金に表にあるゴミ集積所に出してください。それから燃えないゴミは……」

 ガタン、とまたオヤジが立ち上がりました。
 私は目で、不動産屋に無視して続けるように促します。

「一応指定されたゴミ袋がありますので、そちらに……」

 ガー、と自動扉が開く音。
 オヤジは無言で店を出ていきます。

「そ、それから、ビンカン、あとペットボトルとかはですね、この二つとはまた別に回収しますので、月の最初の金曜日に……」

 ガチャン、と店の裏口が開きました。
 入ってきたのはオヤジ。

「え、えーっと、あとは……そうそう。ユニットバスにあるトイレなんですけど、コチラで清掃の方を済ませておきましたので……」

「ここって、いつもどの位お客さん来んの?」

 いきなり事務の女性と会話し始めるオヤジ。

「んー、え、えーっとですね。冷蔵庫の方は備え付けの物がありますのでそちらを使って頂いて……」

「へー、けっこー微妙っちゃ、微妙なんやな」

 失礼なことをズケズケと言うオヤジ。

「じゃ、じゃあ、コレが、部屋のカギと地図ですので」

「お、終わったか剣弥。ほな行こか」





 何しに来たんだよ、お前。




 ハッキリ言って邪魔以外の何者でもありませんでした。




 教訓:大人はちっとも大人しくない。


ホームサイトへの案内状 

 ---------------------------------------
 藤間さん、『してくれますか?』シリーズ全て読んでいただいてどうも有り難うございました! 『飛乃ワールド』とまで言って頂けると、嬉しいやら恥ずかしいやらで困ってしまいますが(///)、楽しんでもらっているようで一安心です。
 『してくれますか?』シリーズは、現在第四作目を鋭意執筆中ですので、今週中くらいには【前編】をアップ出来ると思います。ではではー。

コメント


コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL:
http://hinokenya.blog74.fc2.com/tb.php/131-5581e52f