遠くの嘘より、近くの本音

 そろそろ春の新商品のテスト製造が近付いて参りました。
 このドレッシングチームに配属になって一年経っていないので、テスト製造に立ち会うのはコレで二回目です。
 で、今日。
 隣りに座っている『死語使い』「朝早いねー」とか「この時期寒いよねー」とか話しておりますと、


「あそこってほら、周りに何もないから早く行っても時間潰せないんだよねー。飛乃さんも確か一回行ったことあったよね。覚えてる?」



 とフラれまして。



 私は頭の中で過去の記憶をトレースし、そう言えば現場に向かうタクシーの中で本社の人が、




『ほら、あそこに女子高があるでしょ? アレが見えたらもう近いから』




 と言っていたのを思いだし、





「ああ、アレでしょ? 近くに――」







 出かかった言葉を咄嗟に呑み込みました。









(ちょっとまて、もしココで『近くに女子高がある工場』なんていってみろ。『えー? 飛乃さんってそんなことしか覚えてないのー?』ってな反応されるに決まってる。そして俺のイメージが『飛乃』=『女子高好き』になり、きっと影でまことしやかに囁かれながら誇張されて広まっていき、最後にはきっと女子高の制服マニア・飛乃』なんて汚れた称号を着せられて代々語り継がれていくんだ。いいやいかん、ソレだけは避けねば! あとあの本社の人は何て言ってた。確か他にも目印になるような物があるって……そうだ!)










 ここまでの思考時間、約二秒。



 そして――








「近くに、桜が咲いてたトコですよね」









「前、行ったのって1月だよね?」










 墓穴。










 まぁ、テキトーに修正して誤魔化しましたが……。
 覚えてない時は素直にそう言った方が無難ですよ……。


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