美しき旅の思ひで

 前回の続きでございます。
 私の分の仕事を無事終え、今度は一人で帰ることになりました(上司はもう一日残って仕事)。
 二日間、丁寧に対応してくれたのは見事なハゲ頭の人。そりゃーもー、絶対金属探知器に引っかかるだろ、お前ってな感じの見事なハゲっぷりでした。
 で、フライトの一時間半ほど前に彼と一緒に遅めの昼食を取り、空港まで車で送ってもらうことになりました。
 なにせ今度は正真正銘の一人。時間には余裕を持ちたいです。空港までは車で二十分くらいと言うので、計算では遅くとも三十分くらい前には到着するはず。
 ところが、ここで予想外の事態が発生しました。

「飛乃さん。せっかくですから日本海見ていきませんか。絶景の穴場スポットがあるんですよ」
「え? ええ……時間に余裕があるなら……」
「大丈夫ですよ。行きましょう」

 嫌な予感はしましたが、まだフライトの一時間前。それにそのスポットは通り道にあるというので見に行くことにしました。

 行った先は見渡す限りの日本海。確かに綺麗でした。うん。綺麗でしたよ。

 ウミネコが異常発生してたことを除けばな。

「あ、あともう一ついい場所があるんですよー。次そこ行きますね」

 と、ハゲは私の意見も聞かずに車を走らせます。
 走ること十分。フライト三十分前。予定ではすでに到着していてもおかしくない時間です。
 ついに不安になって私は聞いてみました。

「あの、空港ってあとどのくらいで着きますか?」
「…………え?

 なんだその間は! 「え?」ってなんだ!

「あぁ、もうすぐですよ。それより着きましたよ」

 何事もなかったかのように言ってハゲは車を止めました。
 着いたのは紅葉の木が無数に乱立する場所。紅一色で染め上げられていました。

「どうです? 綺麗でしょう」

 お前の頭がな!

 ハッキリ言ってゆっくり紅葉を鑑賞している余裕なんざ、私にはありません。

「あ、あの。それじゃ空港に行きましょう」
「大丈夫ですよ、ちゃんと間に合いますから」
 
 ハゲはあくまでもマイペースで車を走らせます。

「いやー、飛乃さん。最近、仕事どうですかー?」

 最悪だよ! お前のせいでな!

 もう喋る余裕も無くなってきました。
 で、更に十分後。ようやく着きました。

「はい、着きましたよ。間に合ったでしょう?」

 ああ、五分前だけどな!

 地方空港でなければ確実に乗り過ごしている時間です。
 一応ちゃんと乗れましたが、精神的に相当疲れました。なんで帰りの飛行機は爆睡。
 なんと勿体ない……。

 すべてあのハゲのせいです。
 
 しばらくはハゲ属性と言うだけで第一印象最悪になりそう……。 
 まぁこの出張のおかげで色々体験しましたよ。できれば末代まで語り継ぎたいものです。

 愛想のいいハゲには気を付けろ、と。

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