挨拶の間合い

 私の会社では廊下で人とすれ違うたびに「おはようございまーす」とか「こんにちはー」とか、何かしら挨拶をするようになっております。
 まぁ別に曲がり角でばったりとか、扉を開けたらそこにいたとかなら全然問題ないんですが、相手が遠くから歩いてきた場合。これは非常に困ります。
 なぜなら、どこまで近づいた時点で挨拶をすればいいのかを見極める必要があるからです。
 遠すぎるとやや失礼、近すぎるとそこまで引っ張った意味がよく分からない。
 近すぎず遠すぎずの微妙な距離を、私は『挨拶の間合い』と呼んでいます(ナニソレ)。

 神経を研ぎ澄ませ、遠くから少しずつ距離を詰めてくる獲物が自分の射程範囲に入るのを見計らい、絶妙のタイミングで「おはようございまーす」「こんにちはー」。コレをやり遂げた後の充実感は、やった本人にしか分かりません。
 なので毎日が戦場です。気分はスナイパー。
 ンなことに神経注ぐ暇あったら仕事真剣にしろよ、と言われても私は断固拒否します。これは私にとっての義務、使命――いや、天啓といっても過言ではありません。

 とこで今日、上司とのカウンセリングがありました。
 まぁカウンセリングと言っても大した物ではなく、今抱えてる不満だとか悩みをちょっと相談する、みたいな感じです。キッパリ「アンタ嫌い」とか言うと首チョンパになっちゃうんで、正直には喋れないんですけどね。
 定期的に行われてるメンタルケアの一環です。別名『不毛な時間』とも言います。だってホントに無意味なんだモン。
 今回も三十分ほど無駄な時間を過ごしたのですが、上司の方から最後に、

「飛乃君さー、最近嫌なこととかあった?」

 と、真顔で聞かれました。今まさにこの時、と答えたいのをグッと我慢して「別にありませんけど」と言うと、

「何かさー、みんな『飛乃君が最近よく睨んでくる』とか言ってるんだけど、ホントに大丈夫?」

 だってスナイパーですから。

 ……みんなゴメンよぅ。

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