緊急時、一番カワイイい物は……

 オヤジネタでもう一つ思い出したので書きたいと思います。

 あれは多分、私がまだ六歳か七歳くらいの時だったと思います。
 私、弟、オヤジの三人でママチャリに乗ってスーパーまで買い物に出かけました。
 三人ですから当然「三人乗り」です。
 乗り方はと言うと、
 弟が後ろの座席、オヤジがサドル、私は前カゴでした。
 当時の小さい体は三角座りで前カゴにピッタリフィットし、上手い具合に固定化されていたのを憶えています。
 自転車の最前部から眺める光景は非情に素晴らしく、顔に当たる風が爽快でありました。気分的にはバイクで峠を攻めている感じです。

 スーパーへと続く道。歩道にいる通行人達を避けながら、オヤジは軽快に自転車を飛ばしていました。
 が、交差点で歩道から一時的に車道へと移る際、予想外に大きな段差がありました。
 そこで見事にバランスを崩したオヤジは私の後ろで、

「ヤバイ!」

 と叫び、

 一人だけ大脱出。

 私はと言うと、体がカゴにピッタリフィットしているため、身動きなど取れません。

 今でも鮮明に覚えています。
 私の視界が緩やかな放物線を描き、地面へと吸い込まれていった時のことを。

「す、スマン! 大丈夫か!?」

 そう叫んで駆け寄ったのは、後ろで泣いている弟の方でした。

 私はと言うと、あまりの痛さに泣くどころか、今起こっていることが本当に現実なのかどうかすらも受け入れられていませんでした。
 オヤジが私に駆け寄ってくれたのは、弟が完全に泣きやんだ後。

「お、そうや! コッチはどうや!」

 『コッチは』じゃねぇよ。

「お前血ぃ出とるやんけ! はよ言わんか!」

 何で俺が怒られるんだよ。

「どうや! 痛いか!? 痛いか!? 痛いか!?

 痛いに決まってんだろーがよ!
 いいから取りあえずカゴから出せよ!

 ……まぁ、そんなこんなで。大人の身勝手な行動を初めて見たのはその時でした。

 普通、脱出じゃなくて自転車支えるとかしません? ねぇ? あの件に関しては未だに納得行ってないんですけど。
 

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