『毒メン』に決定

 私の部署には凄いイケメンがいるんです。
 噂では地元にファンクラブがあったとか。
 彼を実際に見るまではいくらなんでも大袈裟だろうと思っていたんですが、いざ対面してみるとあっさり頷けました。





















 確かに超美形




















 アイドル顔とでも言うんでしょうか。骨格からして一般人とは違うんです。とにかくオーラが出ているんです。
 彼を見てイケメンと思わない人はまずいないでしょう。
 個人的に好き嫌いはあるとしても、十人中百人が『美形である』と答えるはずです。
 男の自分でもそう断言できます。














 そして若い。













 まだ入社三年目のピッチピチです。









 が、一つだけ大きな欠点があります。
















 例えば、実験室でダンボールをまとめている『シャドウゲイト』に対して、

















「あ、砂かけババアだ。砂かけババアがいる」


















 例えば、真剣な顔をして悩んでいる『逆コナン』に対して、

















「あれ? 頭の上ちょっと薄くないスか?


















 例えば、朝エレベーターで一緒になった私に対して、



















「飛乃さんって結構エラそうですよね」

















 垂れ流しすぎ。

















 とにかく口が悪いんです。
 しかも本人はそれを悪口だと思っていないから、また始末が悪い。
 だから彼の毒舌は普通じゃないんです。













 一切の容赦がない。














 相手の痛みを分からないから非情に徹することができる。さながらどこかの『玄武』使いのように……。












 そして事件は起きました。















 私の部署にいる三十ン歳の女性。




 独身。バツイチ。








 そんな彼女の内情を聞いた瞬間、彼が口にした言葉は、





















「それってもう大晦日じゃないですか!」




















X'masすら終わってるよ。





















 畏れを知らないって本当に恐いですね。

 きっと彼もいつか、私にとっての『お局様』みたいな女性に出会って痛い目を見ることでしょう。

 まともな話はそれからだな。
 南無……。

 





















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